びわの種で癌が消える噂の真実と厚生労働省が鳴らす猛毒の警告
なぜ、びわの種がこれほど危険視されるのか。その主因は、種子や未熟な果実に高濃度で含まれる「アミグダリン」という青酸配糖体にある。アミグダリン自体は無毒に見える物質だが、人間の消化管を通過する過程で、腸内細菌が持つ酵素(β-グルコシダーゼ)によって分解され、猛毒であるシアン化水素(青酸)を発生させる。
青酸は細胞内のミトコンドリアにあるチトクロムオキシダーゼと結合し、細胞呼吸を阻害する。つまり、細胞が酸素を利用できなくなり、生体は急速な窒息状態に陥るのだ。びわの種をすりつぶして摂取する行為は、自らの体内でシアン化合物を製造し、血液循環に乗せているのと何ら変わらない。
中毒症状は劇的かつ急速に現れる。軽度であれば悪心、嘔吐、めまい、激しい頭痛で済むが、摂取量が多くなれば呼吸困難、意識混濁、痙攣を引き起こし、最悪の場合は心停止に至る。民間療法信奉者の中には、こうした中毒症状を「毒素が体から出ている好転反応(デトックス効果)だ」と偽る者すらいる。毒物による生命維持機能の停止を治癒の兆候と錯覚させる言説は、もはや犯罪的ですらある。