豪州を縛った白豪主義の闇と崩壊、多文化大国が隠す人種政策の爪痕
白豪主義の刃は、外からの移民だけでなく、内なる先住民アボリジナル・ピープルにも容赦なく向けられた。20世紀初頭から1970年代にかけて組織的に行われた「盗まれた世代(Stolen Generations)」政策だ。肌の色の薄い先住民の子供たちを親元から強制的に引き離し、白人家庭やキリスト教施設で「再教育」して同化させようとした試みである。
映画化もされた名作『ラビット・プルーフ・フェンス』は、大陸を縦断するフェンスに沿って1500マイルを歩き、母のもとへ帰還しようとした3人の少女の過酷な逃走劇を描き出した。血統を薄め、文化を地上から消し去ろうとしたこの同化政策は、移民排除と表裏一体をなす白豪主義のもう一つの狂気だった。歴史の傷口は今も塞がっておらず、先住民コミュニティの平均寿命や収監率の格差として冷酷に現存している。