わずか2ミリグラムで命を奪う粉末、日本へ迫る最悪の薬物危機

今注目を集めている わずか2ミリグラムで命を奪う粉末、日本へ迫る最悪の薬物危機について、主要な情報をご紹介しています。

フェンタニルの原点は、純粋な医療上の探求だった。1959年、ベルギーの名高き薬理学者ポール・ジャンセンが、既存の鎮痛薬を凌駕する画期的な化合物の合成に成功する。強力無比でありながら切れ味が鋭く、手術現場の麻酔補助や過酷ながん性疼痛に苦しむ患者にとって、この新しい合成オピオイドはまさに救世主だった。

だが、医療現場の奇跡として称賛された物質は、やがて巨大な欲望の渦に巻き込まれる。1990年代以降、北米を中心とする製薬産業は「痛みは我慢すべきではない」というキャンペーンを大々的に展開し、依存性のリスクを覆い隠したままオピオイド系鎮痛薬を市場へ氾濫させた。正規の処方箋によって何百万人もの一般市民が薬物依存の深淵へと突き落とされ、医療用医薬品の供給が規制されると同時に、飢えた需要はそのまま地下の密造市場へと流れ込んだ。

小林 直樹

小林 直樹

トレンドリサーチャー

シンプルで洗練された住まいづくりとインテリアコーディネートのアイデアを提案しています。