労災指定外で自腹治療?8号様式の書き方と全額返金手続きの全真相
労災事故の現場で頻発する最大のトラブルが、「病院の窓口で慌てて普段の健康保険証を提示し、3割負担で受診してしまった」というミスです。
ネット上の掲示板などでは「3割しか払っていないのだから、残りの7割は会社に請求すればいい」「あとから労災には変えられない」といった不正確な情報が散見されますが、これは明確な誤りです。健康保険法第1条および第55条の規定により、業務上の傷病に対して健康保険の保険給付を行うことは法的に認められていません。
誤って健康保険を使ってしまった場合、以下の2つのルートで労災(8号)へ切り替えます。
【ルートA:同一月内に受診先病院で切り替える】
受診した月内であれば、病院の窓口に「業務中の怪我だったため労災に切り替えたい」と申し出ます。窓口で健康保険の3割負担分をいったん精算(返金)し、改めて10割全額を支払った上で領収書と明細書を受け取り、労基署へ様式第8号を提出します。
【ルートB:受診から月をまたいでしまった場合】
月をまたぐと病院窓口での処理ができません。この場合、加入している健康保険組合(協会けんぽ等)に連絡し、「労災事故で誤って保険証を使った」旨を伝えます。後日、健保組合から「不当利得返還請求書」が届くため、健保が負担していた7割分を健保へ直接返還します。その「返還領収書」と当初自分が払った「3割の領収書」を合わせ、様式第8号とともに労基署へ提出して全額(10割分)の返金を受けます。