スラブとは?建築の基礎知識からマンション防音の選び方まで徹底解説
マンション選びにおいて広く浸透している最大の誤解が「直床(じかゆか)は安物でうるさく、二重床(にじゅうゆか)なら遮音性が高くて静か」という神話です。住宅販売の営業トークで多用されてきたこの言説ですが、建築音響の現場データはこの常識を真っ向から否定しています。
二重床で発生する「太鼓現象(低音共振)」のリスク
二重床は、コンクリートスラブの上に支持脚を立て、床パネルとフローリングを浮かせて施工する工法です。配管の更新性やリフォームの自由度が高いという絶大なメリットを持つ反面、遮音に関しては厄介な物理現象を引き起こします。
スラブと床パネルの間に密閉された空気層が存在するため、子どもの足音のような強い衝撃が加わると、空気層がバネのように共振して衝撃音を増幅させる「太鼓現象(たいこげんしょう)」が発生することがあります。音響試験のデータでは、同一のスラブ厚であれば、直床(スラブ上に遮音フローリングを直貼り)よりも二重床のほうが、特定の重量衝撃音(LH)を数デシベル悪化させて階下に伝えてしまうケースが報告されています。
つまり、「二重床だから防音性が高い」のではなく、「二重床で十分な静粛性を確保するためには、より分厚いスラブ厚(230mm〜250mm以上)と適切な防振ゴム支持脚の設計が不可欠」というのが建築工学の偽らざる真実です。