孤独のグルメから紐解く怪優の原点——松重豊が「役者を辞めていた」どん底の20代と、あの頃の東京
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福岡から上京した若き日の松重豊が足を踏み入れたのは、80年代後半の熱気あふれる小劇場シーンだった。当時、彼が所属していたのは、のちに国民的劇作家となる三谷幸喜が主宰していた「東京サンシャインボーイズ」である。
188センチの高身長。当時の演劇界では、その体躯は「舞台で使いづらい」と敬遠されることも少なくなかった。しかし、三谷はその圧倒的な存在感を見抜き、彼を舞台に立たせ続けた。下北沢の狭い楽屋で、明日の暮らしも知れぬ若者たちが演劇論を戦わせる日々。そこには確かに、狂熱と呼べるだけの青春があった。