【2026年現地ルポ】小田原「御幸が浜」が解き放つ静寂の熱気——相模湾の再生と歴史的海岸の今
この地に立つと、時空を超えた歴史の深みに引き込まれる。明治6年(1873年)、明治天皇と皇后が皇族とともにこの海岸を訪れ、地元の漁民が行う地引き網漁を鑑賞された。その史実こそが「御幸」の名をこの浜に与えた由来である。
また、小田原を第二の故郷と称した詩人・北原白秋をはじめ、多くの文士たちがこの波打ち際を歩き、名作の構想を練った。砂利混じりの特有の砂浜を踏みしめる音は、100年前の文学者たちが聴いた音と何ら変わりがない。潮風の中に歴史のレイヤーを感じ取る体験は、小田原という城下町が持つ奥行きそのものである。