なぜ肩で息をするのか?心不全や喘息を疑うべき危険信号と救急基準
介護施設や在宅医療の現場で最も頻繁に遭遇するのが、高齢者 肩で息をする状態を見逃してしまう落とし穴です。高齢者は加齢に伴い低酸素血症に対する換気応答や自覚症状の知覚能が鈍化するため、若年層のように「息が苦しい」「胸が痛い」とはっきり訴えません。
厚生労働省の救急搬送データや在宅医療専門医の現場報告によると、同居家族が「最近何となく元気がなく、ウトウトして寝てばかりいる」「食事の進みが悪い」と見ていた高齢者が、訪問看護師のバイタル測定でSpO2が84%まで急落しており、緊急搬送されたという実例は枚挙にいとまがありません。衣服の上からでは呼吸の深さがわかりにくく、首筋や肩の筋肉が小刻みに上下している様子を見過ごしてしまうことが遅延の主因となっています。
SNSや大手医療相談プラットフォーム上の当事者手記でも、家族の苦悩が生々しく吐露されています。「80代の母が夜間に布団から起き上がり、壁に寄りかかって肩を揺らしていた。本人が『ただの風邪だから朝まで寝る』と言うのを鵜呑みにした結果、翌朝には意識が朦朧として急性心不全でICU送りになった」「呼吸器疾患の持病がある父が、いつもより肩をすくめるように呼吸していたが、熱がなかったため様子見してしまった」といった後悔の声が後を絶ちません。自覚症状の訴えがないことと、病状の重症度は決して比例しないという冷徹な事実を直視しなければなりません。