インド国旗の色の意味と24本車輪の真相|ガンディーの葛藤と変遷
インドにおいて国旗は、単なる愛国心の表現ツールを超え、極めて厳格な法的コントロールのもとに置かれています。その根拠法がインド国旗法の規定(Flag Code of India 2002)です。
長年にわたり、国旗の素材はガンディーが愛した手紡ぎ手織りの綿布「カディ(Khadi)」のみに限定されていました。機械織りや合成繊維の国旗を製造・販売することは法律違反であり、カルナータカ州ハッバリにある「カルナータカ・カディ・グラモディョーグ・サンユクタ・サンガ(KKGSS)」のみが、国家基準を満たす唯一の公認製造拠点として独占的な地位を誇っていたのです。
しかし、独立75周年を機にインド政府は大規模な法改正を断行しました。2026年12月、ポリエステル製および機械織りの国旗製造を正式に認可。さらに「ハル・ガル・ティランガ(すべての家に国旗を)」運動を推進し、全世帯が国旗を自宅に掲げることを推奨しました。これにより安価な国旗が全国に流通した一方、カディ生産者組合や野党からは「ガンディーの精神と伝統工芸に対する裏切りである」との激しい反発が巻き起こり、国を二分する論争へと発展しました。
ビジネスや外交の現場においても、国旗の取り扱いは命取りになります。現地法人や日系企業が注意すべき実務リスクは次の通りです。
第一に、国旗を決して地面や床、水面に接触させてはならないという不文律です。展示会や式典で机のカバーとして国旗を使用することや、衣装の一部として腰より下に国旗柄を用いる行為は、国家名誉毀損防止法(1971年法)に抵触し、最大3年の禁錮刑が科される重罪となります。現地の日本企業が祝典イベントの装飾で国旗デザインを床近くに配し、現地警察から厳重注意を受けた実例も報告されています。