バリー・ボンズ薬物疑惑の全貌と現在|762本塁打と殿堂落選の真相
ボンズがステロイドに手を染めた決定的な転換点は、1998年シーズン終了直後のオフであると関係者の証言やノンフィクション書籍『ゲーム・オブ・シャドウズ』などで克明に暴かれています。1998年、MLBはマーク・マグワイアとサミー・ソーサによる歴史的なシーズン最多本塁打記録争いに熱狂していました。ストライキで離れたファンを呼び戻した「英雄」として連日メディアを独占する2人を、ボンズは深い孤立感と屈辱感を抱きながら凝視していたと伝えられています。
当時のボンズはすでにMVPを3度獲得し、走攻守すべてが完璧なメジャー屈指のスーパースターでした。しかし、明らかに薬物でパンプアップした肉体から放たれる本塁打ばかりが礼賛される現実に、彼のプライドは激しく打ち砕かれました。当時の特番インタビューや知人の証言でも、彼が「不正をしている奴らが喝采を浴び、なぜ真面目にやっている自分が日陰に置かれるのか」と強烈な不満を漏らしていたことが明かされています。
1999年以降、ボンズの肉体は異様なスピードで巨大化していきました。ピッツバーグ・パイレーツ時代の俊敏なアスリート体型(公称体重約84kg)から、短期間で100kgを超える巨漢へと変貌を遂げただけでなく、ファンの間で囁かれたのが「体型変化と頭囲の謎」です。サンフランシスコ・ジャイアンツのクラブハウス関係者の証言によれば、帽子のサイズは7 1/4(約58cm)から7 5/8以上(約61cm超)へと拡大し、足のサイズも1回り以上大きくなり、顎の骨格ラインが肥大化していました。これらは、アナボリック・ステロイドとともに摂取していたとされるヒト成長ホルモン(HGH)の典型的な副作用(末端肥大症の症状)と合致しており、視覚的な動かぬ証拠として全米に衝撃を与えました。