文翔館はなぜ無料?時計塔の謎と映画ロケ地で話題の名建築を解剖
歴史ファンのみならず、近年若い世代の来訪を爆発的に増やした契機が映画やドラマのロケ地誘致です。とりわけ大きな話題を呼んだのが、大ヒット映画『るろうに剣心 京都大火編 / 伝説の最期編』における撮影舞台となったことです。
本作において、文翔館は明治政府の中枢である「内務省庁舎」として劇中に登場しました。映画監督の大友啓史氏をはじめとする制作陣がこの場所を選んだ決め手は、大理石の手すりを配した重厚な中央階段と、赤い絨毯が敷き詰められた回廊が醸し出す本物の時代感でした。現代のスタジオセットやCGでは決して再現できない、大正期から幾万もの人々が刻んできた建物の風格そのものが、スクリーン越しに圧倒的な説得力を与えています。
現場を歩くと、主人公の剣心や政府高官たちが歩行した廊下、緊迫した密談が行われたかのような旧知事室など、至るところに映画のワンシーンを想起させる画角が広がっています。館内には撮影当時の様子を紹介する特設展示や写真パネルも設置されており、聖地巡礼に訪れたファンを飽きさせない配慮が随所になされています。