仏教の天界「楽変化天」とは?寿命23億年の世界と自ら創る快楽の謎
古代インドの仏教論書『倶舎論(くしゃろん)』や『仏地論』には、楽変化天に住まう天人たちの身体的特徴や寿命、生活様式に関する極めて具体的な数値データが記録されています。その規格外の生態系を、他の階層と比較可能な形で整理しました。
データが示す通り、楽変化天における時間の流れは人間界の常識を根底から覆します。人間界の800年が楽変化天におけるわずか「1昼夜」に過ぎず、その時間軸で8000年間生き続けるため、計算上の寿命は約23億4000万年に達します。地球の地質年代で言えば、原始生命が誕生してから多細胞生物へと進化するほどの天文学的な歳月を、歓喜のなかで過ごすことになります。
さらに天人たちの身体的特徴も規格外です。文献によると、天人の身長は「2里半」(古代インドの単位ヨージャナを換算すると数キロメートル規模)に達し、身体そのものが太陽や月を必要としないほどのまばゆい光明を放っています。
驚嘆すべきは男女の関係性と生殖です。人間界のような肉体的な接触を伴う性交渉は存在せず、男女が互いに向かい合って「ただ優しく微笑み合うだけ」で交媾の目的が完全に達成されます。そして子どもは母胎に宿るのではなく、父母の膝の上から忽然と現れる「化生(けしょう)」によって誕生します。生まれた瞬間の姿はすでに人間界の12歳前後に相当する発育状態であり、老いや病の苦痛を一切経験することなく、光り輝く宮殿で生涯を過ごすのです。