Fresh Cadaverの意味とは?新鮮凍結遺体が拓く外科手術の未来
かつて日本国内でカダバートレーニングを実施することは、法的なグレーゾーンとして大きな障壁となっていました。昭和28年に制定された「死体解剖保存法」において、解剖が許可される目的は「病理解剖」「系統解剖(正常解剖)」「法医解剖(行政・司法解剖)」に限定されており、医師の手術手技向上を目的とする解剖は明文規定されていなかったためです。
この法的な曖昧さにより、国内の多くの大学病院は手技研修の実施をためらい、日本の若手外科医たちは高額な自費を投じて、米国のハワイ大学やタイの研修施設などへ渡航してトレーニングを受けざるを得ない時代が長く続きました。
しかし、厚生労働省と法務省による見解の整理が進み、「死体解剖保存法第19条第1号(医学に関する教育又は研究のため解剖学を修得する目的)」の範囲内に、臨床医師の手術手技向上も含まれるとの法的解釈が正式に確認されました。これを受け、2012年に日本外科学会と日本解剖学会が合同で運用ガイドラインを策定。国内の大学施設において、合法的にかつ厳格な倫理管理のもとでカダバートレーニングが実施できる基盤が整ったのです。
ただし、ここで最も重要なのが「献体制度における本人の生前意思と遺族の承諾」です。日本国内の献体運動(白菊会など)に登録している多くの方々は、医学生の基礎的な解剖学教育を想定して登録されています。そのため、臨床医師の手技研修に活用するにあたっては、「臨床医学解剖(手術手技研修)への利用を明示した事前同意(オプトイン)」と、死後のご遺族による改めての同意取得が厳格に義務付けられています。