日本の歴代最年少総理大臣は誰?伊藤博文44歳の真実と記録更新の壁
時代が明治・大正・昭和初期を経て戦後へと移ると、総理大臣の就任年齢は劇的に跳ね上がります。焦土からの復興、そして高度経済成長期を主導した歴代政権は、吉田茂(初就任時67歳)、鳩山一郎(71歳)、石橋湛山(72歳)といった百戦錬磨のベテラン政治家によって占められることになりました。官僚出身者や党人派の重鎮が派閥領袖として君臨する「派閥政治」と「当選回数主義」が確立されたことで、50代前半での登極は永田町においてタブー視されるようになったのです。
この強固な長老支配の壁を半世紀ぶりに打ち破ったのが、2006年9月に発足した第1次安倍晋三内閣(52歳0か月)でした。安倍氏は当時、戦後生まれとして初めて、かつ戦後最年少で自民党総裁および内閣総理大臣へと上り詰めました。北朝鮮による日本人拉致問題への強硬姿勢と国民的人気を背景に、小泉純一郎政権の官房長官から一気に権力の階段を駆け上がった瞬間でした。
しかし、若くして掴んだ栄冠の裏には過酷な代償が伴いました。安倍氏自身が後に特番インタビューや回顧録の中で「自民党内の先輩議員に対する根回しや配慮が不足し、閣僚の不祥事や離反が相次いだ時の党内グリップが効かなかった」と述懐している通り、経験不足による党内掌握の甘さが命取りとなり、わずか1年での退陣を余儀なくされました。この安倍第1次政権の挫折は、皮肉にも永田町に「やはり総理には酸いも甘いも噛み分けた円熟味と、泥臭い根回し能力が必要だ」という強固な保守的言説を再生産させる口実となってしまったのです。