サンボマスター「できっこないをやらなくちゃ」歌詞の意味と感動の真相
サンボマスターの『できっこないを やらなくちゃ』が他の多くの応援ソングと一線を画している最大の要因は、歌い出しの第一声にあります。多くのメッセージソングが「上を向こう」「前へ進もう」とポジティブな行動を促すのに対し、作詞を手がけた山口隆は次のような語りかけから楽曲をスタートさせます。
「どんなに打ちのめされたって 悲しみに心をまかせちゃだめだよ」
「君は今逃げたいっていうけど それが本音なのかい? 僕にはそうは思えないよ」
ここで描かれているのは、高みから放たれる無責任な激励ではありません。挫折の底に沈み、「もう逃げ出したい」と弱音を吐く他者に対し、真っ正面から目を見つめて「それが君の本当の願いじゃないはずだ」と問いかける姿です。心理カウンセリングにおける「アクティブ・リスニング(積極的傾聴)」の現場でも実証されているように、人は自暴自棄になっているとき、正論を突きつけられると心を閉ざします。しかし、自分の奥底にある悔しさや未練を他者に言い当てられた瞬間、閉ざされていた感情の扉が開き、涙となって溢れ出します。
さらに続く歌詞では、「何も実らなかったなんて悲しい言葉だよ 心を少しでも不安にさせちゃだめさ 灯りをともそう」と語られます。結果が出なかった挑戦を「無駄だった」と切り捨てる自己否定に対し、徹底して「否」を唱え、火が消えかけた心に再び火種を灯そうとする徹底した伴走の姿勢。サビで繰り返される「あきらめないでどんな時も 君なら出来るんだどんな事も」というフレーズは、前半で痛みを分かち合い、信頼関係を築いたからこそ、命令ではなく「祈り」として響くのです。