『プライド』最終回の真相と結末|一条ゆかりが描いた魂のオペラ
本作の骨格を理解する上で欠かせない一条ゆかりのプライドのあらすじは、オペラ界を舞台にした二人の歌姫の奇跡的な交差から始まります。亡き世界的大歌手の母を持ち、裕福な家庭で純粋培養されたソプラノの麻見史緒。対して、銀座のクラブでホステスとして働きながら、下半身不随のふりをして金を無心する母親を養い、貪欲にチャンスを狙うメゾソプラノの緑川萌。ある日、史緒の自宅で催されたサロンコンサートの給仕として萌が現れたことから、二人の運命の歯車が狂気を帯びて回り始めます。
複雑に絡み合う人間ドラマを読み解くため、主要な一条ゆかりのプライドの登場人物相関図を整理すると、以下の四角関係が軸になっていることが分かります。
- 麻見史緒(ソプラノ):絶対的な美貌と正統派の気品を持つ令嬢。父の会社倒産により没落するが、不屈の闘志で本物の歌手へと覚醒する。
- 緑川萌(メゾソプラノ):底辺の生活から抜け出すためなら手段を選ばない野心家。卓越した演技力と計算高さで史緒の居場所を奪おうとする。
- 神野隆(プロデューサー):クイーンズレコード副社長。冷徹なビジネス感覚を持ち、史緒の真価を見抜きつつ、萌の貪欲な才能を利用し開花させる。
- 池之端蘭丸(ピアニスト):史緒の幼馴染で、クラブのピアノ弾きとして萌とも接点を持つ。常に史緒を無償の愛で支え、萌の狂気をも冷静に見守る緩衝材。
史緒と萌の麻見史緒と緑川萌のライバル関係は、従来の少女漫画に見られた「善玉と悪玉」の対立ではありません。史緒が持ち得ない泥臭い生命力と執念を萌が持ち、萌がどれほど渇望しても手に入らない圧倒的な品格と王道の華を史緒が備えています。欠落を抱えた二つの魂が、プライドの劇中を彩るオペラ楽曲(モーツァルト『魔笛』の夜の女王のアリア、ビゼー『カルメン』のハバネラ、プッチーニ『トスカ』歌に生き、恋に生き)を介して殴り合う様は、まさに圧巻の人間喜劇です。