Juju版『ギブス』はなぜ心揺さぶる?原曲との違いと評判の真相
ここで、カバーという文化に対する一般的な誤解を正しておく必要があります。世間の一部には「カバーアルバムは単なる企画モノ」「オリジナルのヒット曲に頼った商業主義」といった冷ややかな見方が根強く存在します。しかし、JUJU カバー曲一覧(『Request』シリーズ第1弾〜第4弾、そして昭和歌謡を歌う『スナックJUJU』シリーズなど)を俯瞰したとき、JUJUという存在が単なる「カバー歌手」の枠に収まらない特異な作家性を持っていることがわかります。
JUJUは自身で全曲を作詞・作曲するシンガーソングライターではありません。しかし彼女は、他者が生み出した強烈な物語に自らの身体を預け、自らの血肉を通して再出力する「稀代の触媒型シンガー」なのです。アメリカ・ニューヨークでの長年の下積み時代、ジャズやソウル、ヒップホップが入り乱れる現場で「他人のスタンダードナンバーをいかに自分の色で鳴らすか」を叩き込まれてきた彼女にとって、カバーとは模倣ではなく「自らの表現そのもの」に他なりません。
現在のJUJU ギブス 配信情報を確認すると、SpotifyやApple Music、LINE MUSICといった主要サブスクリプションサービスにおいて、初出から15年以上が経過した今も「JUJUの人気曲」上位に必ずランクインしています。アルバムJUJU Request 収録アルバムの枠を超えて単体でロングヒットを続けるこの事実は、「ギブス」が単なる過去のヒット曲の再現ではなく、JUJUというフィルターを通すことで時代に消費されない新たなマスターピースへと生まれ変わったことを雄弁に物語っています。