源義経=チンギスハン説の真相|なぜ不死伝説は世界へ広がったのか
現代の東洋史学・日本中世史学では、双方の第一級史料によって両者の別人性が完全に立証されています。
モンゴル側の根本史料である『元朝秘史(モンゴル秘史)』や、ペルシアの歴史家ラシード・アッディーンが編纂した『集史』には、チンギス・ハン(幼名テムジン)の系譜、母ホエルンの苦難、妻ボルテの略奪と奪還、盟友ジャムカとの確執など、彼の青年期に至るまでの過酷な半生が生々しく克明に記されています。彼には確固たる部族の血統があり、突如として大陸に現れた謎の人物などでは決してありません。
当時、大正大学教授であった東洋史学者・羽田亨や、東京帝国大学教授の那波利貞らは、小谷部の著書が出版された直後から徹底的な史料批判を展開し、「言語の牽強付会(こじつけ)と初歩的な誤読に満ちた空想」として厳しく断罪しました。学術の世界では、大正時代すでに決着がついている問題なのです。