松嶋菜々子の歴代ドラマ最高傑作はどれ?視聴率ランキングと現在地
数多くのヒット作を持つ松嶋菜々子ですが、視聴者の間で「結局、最高傑作はどちらなのか」と激しい議論が交わされ続けるのが、2000年の『やまとなでしこ』と2011年の『家政婦のミタ』です。両作は作風も演じたキャラクターの性質も完全に対極に位置しています。
『やまとなでしこ』で演じた神野桜子は、「世の中に男は星の数ほどいるけれど、お金持ちは一握り」「愛よりお金」と言い放つキャビンアテンダントでした。バブル崩壊後の閉塞感が漂い始めた日本において、自身の貧困な生い立ちを乗り越えるため、美貌を武器に上昇志向を剥き出しにする桜子の姿は、一歩間違えれば激しい反感を買うリスクを孕んでいました。しかし、松嶋菜々子の圧倒的な可憐さと、コミカルかつ哀愁を帯びた感情表現により、視聴者は彼女を嫌うどころか熱狂的に応援したのです。
一方、東日本大震災の発生した2011年秋に放送された『家政婦のミタ』は、日本のホームドラマの概念を根底から覆しました。「承知しました」「それは業務命令でしょうか」と機械のように復唱し、一切の笑顔を見せない家政婦・三田灯。母親を亡くし崩壊の危機に瀕した阿須田家に派遣された彼女は、家族の欺瞞や弱さを情け容赦なく暴き立てます。過酷な過去を背負い、死んだように生きていた三田が、最終回でわずかに見せた落涙と微笑みは、実に40.0%という歴代屈指の視聴率を生み出しました。
軽快な会話劇と人生の本質を突く名セリフで「何度でも見返したくなるラブコメディ」として不動の支持を集める『やまとなでしこ』と、過密な社会不安の中で人間の再生を鋭利に描いた『家政婦のミタ』。前者が「生きる活力と幸福感」を与えるエンタメの最高峰であるならば、後者は「魂の救済」を描いた社会派ヒューマンドラマの極致であり、甲乙つけがたい独自の金字塔を打ち立てています。