さつまいもの植え方と苗選び|収穫量が劇的に変わるプロの栽培技術

さつまいもの植え方と苗選び|収穫量が劇的に変わるプロの栽培技術にまつわる興味深い視点を詳しく紐解きます。

「土に挿すだけで簡単に育つ」と語られるさつまいもですが、なぜ植え方ひとつで収穫量や芋の形状が激変するのでしょうか。その決定的な理由は、土中に埋まる茎の各節から発生する「不定根(ふていこん)」が塊根(芋)へ分化する条件にあります。

さつまいもの根には、水分や養分を吸収するだけの細い「吸収根」、木質化して硬くなる「硬化根」、そしてデンプンを蓄えて肥大する「塊根」の3種類が存在します。農林水産関連の技術指導資料や植物生理学の知見によると、不定根が塊根へと分化するためには、初期段階における十分な酸素供給・適度な地温(20〜25℃)・適正な土壌水分が不可欠です。

地中深くに挿入された節は、水分は豊富にあるものの酸素が不足し、地温も上がりにくいため、根が呼吸困難に陥って硬化根になりやすくなります。一方で、地表面から深さ5〜10cm前後の通気性と地温が確保された浅い層に節が位置すると、植物ホルモンであるオーキシンと同化養分が効率よく集積し、細胞分裂が活性化して見事な塊根へと成長します。つまり、苗をどの深さに、何節埋めるかという「植え付けの形状」こそが、収穫期の芋の個数とサイズを決定づける設計図そのものなのです。

高橋 健太

高橋 健太

ライフスタイル編集者

Webメディアでの編集・執筆歴10年。読者の好奇心を刺激するストーリー作りを心がけています。