カルテット吉岡里帆の怪演はなぜ伝説に?目が笑ってない演技と現在
ドラマ『カルテット』における吉岡里帆の登場は、物語の空気を一変させる劇薬でした。彼女が演じたカルテット 来杉有朱というキャラクターは、主人公たちが集う軽井沢のライブレストラン「ノクターン」でアルバイトをする元地下アイドルという役柄です。可憐なルックスの裏に底知れぬ悪意と計算高さを秘め、登場人物たちの秘密を暴き立てては場を混乱に陥れるトリックスターでした。
脚本のカルテット 坂元裕二がト書きに記した「目が笑っていない」という指定は、役者にとって極めて難易度の高い要求です。通常の芝居では、笑顔を作れば目元も自然と細まり感情が乗るものですが、吉岡里帆は口角だけを完璧な黄金比で吊り上げ、眼球の瞳孔を固定したかのような「感情の死んだ笑み」を画面越しに作り出しました。当時のSNSでは「吉岡里帆の目が笑ってないのが本気で怖い」「ホラー映画より背筋が凍る」と大きな話題を呼び、彼女の卓越した顔面筋のコントロールと精神の憑依ぶりが絶賛を浴びることになります。
制作関係者の証言によると、吉岡里帆自身はこの役柄に向き合うにあたり、「嫌われることを一切恐れず、どこまでも徹底的にやり切る」という覚悟を持って現場に入ったと語られています。単なる記号的な悪女ではなく、世渡りの手段として笑顔を“兵器”のように使いこなす現代女性の歪みを、冷徹な観察眼で炙り出してみせたのです。