超音波骨折治療法は効果ない?治癒4割短縮の真相と保険適用の条件
これほど強固なエビデンスが存在するにもかかわらず、SNSや医療相談掲示板では「超音波治療器を借りたのに全然骨がつながらなかった」「無駄金だった」という不満の声が時折見られます。医療現場の取材を進めると、この評価の乖離には明確な3つの原因が存在していました。
第1の要因は、照射部位の物理的な位置ズレです。超音波骨折治療器のプローブ(接触端子)から発振される音波は直進性が高く、骨折線(骨の割れ目)に対して正確に照射されなければ十分なエネルギーが届きません。ギプスの隙間から適当な位置にプローブを当てていたり、専用の超音波ゲルをケチって空気が遮断されていなかったりすると、音波の透過率は著しく低下します。骨折部位からわずか1〜2センチメートルずれているだけで、骨折部に到達する音圧刺激は大幅に目減りします。
第2の要因は、患者側のアドヒアランス(治療継続率)の低下です。LIPUSの超音波は組織を温める温熱効果すら生じないほど微弱であるため、照射中にピリピリとした刺激や温かさを感じることは一切ありません。この「受けている感覚のなさ」が災いし、最初の1週間は毎日当てていたものの、「本当に効いているのか分からない」と次第に照射をサボり、2〜3日に1回、週末だけといった不定期な使用に陥る患者が少なくありません。毎日連続して細胞に刺激を与えなければ、骨形成の連鎖反応は維持できません。
第3の要因は、骨折そのものの重症度と血流条件です。骨折部位の血行が完全に断たれているケースや、骨と骨の間に筋肉などの軟部組織が挟まり物理的に離断している状態では、いかにLIPUSを照射しても限界があります。骨癒合が停止してしまった「偽関節」や、半年以上癒合しない「難治性骨折」においては、骨移植や再手術を併用せず単独照射だけで治癒を目指そうとすると、「効果が実感できない」という結末を招くことになります。