キタサンブラック血統の真相|なぜ世界最強イクイノックスが出たか

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キタサンブラックの血統表を紐解くと、生産界の既成概念を粉砕した劇的なドラマが浮かび上がります。父ブラックタイドは、無敗の三冠馬ディープインパクトの全兄(父サンデーサイレンス、母ウインドインハーヘア)として知られます。現役時代はスプリングステークスを制覇したものの、屈腱炎に泣き重賞1勝にとどまりました。しかし、馬体構造を見るとディープインパクト(440kg前後)よりも骨太で500kgを超える雄大な馬格を誇り、母系が持つ欧州のスタミナとタフネスを色濃く受け継いでいました。

そこに組み合わされたのが、短距離界の絶対王者として君臨したサクラバクシンオーを母父に持つ母シュガーハートです。当時の生産現場を知る牧場関係者は次のように証言しています。

「母父バクシンオーの牝馬にブラックタイドを配当した際、周囲からは『走る距離が中途半端になるのではないか』という声が圧倒的でした。短距離のスピードと中距離の重厚さを足して2で割るような配合は、器用貧乏に終わるリスクが高かったからです」

しかし、この配合は弱点を相殺するのではなく、双方の長所を極限まで引き出す化学反応を起こしました。サクラバクシンオーの父サクラユタカオーは、天皇賞(秋)をレコード勝ちした東京2000mの内包的スピード馬。その奥にあるナスルーラ系(プリンスリーギフト系)特有の柔らかく伸びやかなフットワークが、ブラックタイドを通じて注入されたサンデーサイレンスの瞬発力とウインドインハーヘアの底力に合致したのです。これこそが、菊花賞や有馬記念を逃げ切る一方で、天皇賞(秋)の不良馬場で出遅れながら差し切るという、キタサンブラックの距離適性の秘密を解く鍵でした。

佐藤 大輔

佐藤 大輔

シニアコンテンツプロデューサー

最新のテクノロジーと生活デザインの融合をテーマに、国内外の最新トピックを発信しています。