1から100までの和はなぜ5050?ガウスの裏ワザと公式を徹底解説
この「両端からペアを作って掛け合わせる」という鮮やかな発想は、のちに「数学者の中の王」と称されることになるドイツの大天才カール・フリードリヒ・ガウス(1777–1855)が、わずか10歳(諸説あり)の時に自力で発見した解法として世界中に知られています。
歴史的な逸話として語り継がれている舞台は、ブラウンシュヴァイクの聖カタリーナ小学校。厳格で知られた教師ビュットナー(J.G. Büttner)は、騒がしい教室の生徒たちを長時間静かに机に向かわせる目的で、「1から100までのすべての数を足し算しなさい」という課題を出しました。普通の児童であれば、石版(当時の書き板)に何十分もかけて数字を書き連ね、計算ミスに苦しむはずでした。
ところが、課題が出された直後、10歳のガウスは即座に立ち上がり、自分の石版を教卓の上に伏せて提出しました。そして地元の方言で「Ligget se’(これです)」と言い放ったと伝えられています。授業終了後、教師が積み重なった石版をめくると、他の生徒が計算間違いだらけの答えを並べるなか、ガウスの石版にはたった1つの数字「5050」だけが正確に書かれており、指導教官を驚嘆させました。
後年の数学史研究や伝記作家ヴァルタースハウゼンの記録によると、実際の出題は「特定の公差をもつ等差数列の計算」であった可能性も指摘されていますが、本質は変わりません。幼少期のガウスは、指示された作業を盲目的にこなすのではなく、「問題の構造を見抜き、計算量を最小限に圧縮する」という、数学的思考の神髄をすでに体得していたのです。