なぜ悲劇は防げないのか?ストーカー事件の深層心理と命を守る防犯の鉄則

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かつて批判の的となった警察の「民事不介入」という姿勢は、度重なる惨劇を経て根本的に改められました。現在では各都道府県警に人身安全関連事案を専門に扱う部署(人身安全対策課など)が設置され、相談を受けた警察署は生活安全部門を中心に「事態が急変する恐れがある事象」として初期段階から組織対応を行う枠組みが構築されています。

しかし、当事者や支援団体の現場からは、依然として警察の対応に対する温度差や限界を訴える声が聞かれます。その最大の理由は、警察という組織が持つ「法的手続きの限界」と「24時間個人の身辺を警護することの不可能性」にあります。

警察官が加害者に警告の電話を一本入れた際、一般的な理性を持つ人物であればそこで引き下がります。ところが、前述したように認知の歪みが極限に達したストーカーの場合、警察の介入そのものを「被害者が自分を裏切って国家権力に売った」と受け止め、激昂して犯行を決断する契機になってしまうことがあります。博多駅前の事件でも、警察による禁止命令の発令直後に凶行へと及んでおり、ストーカー事件 警察の対応における最大の難所は「加害者に警告を与えてから身柄を拘束するまでのタイムラグ」をどう乗り切るかという点にあります。

実際の保護対策として、警察は被害者に対して防犯ブザーの貸与、自宅周辺の緊急パトロール、一時的なホテル避難や民間シェルターの案内、110番緊急通報登録システムへの登録などを提示します。しかし、避難生活は被害者側の生活や仕事を根底から破壊する重い負担を強いるのが現実です。公的機関の防護ネットは強化されたものの、加害者の執着心を物理的に断ち切るまでの間、被害者が背負わされる代償は決して小さくありません。

佐藤 大輔

佐藤 大輔

シニアコンテンツプロデューサー

最新のテクノロジーと生活デザインの融合をテーマに、国内外の最新トピックを発信しています。