今井紀明とイラク人質事件の真相|自己責任論を超えた若者支援の現在
2004年4月7日、世界中に衝撃的な映像が配信されました。武装組織「サラヤ・アル・ムジャヒディン」に拘束されたのは、ボランティア活動家の高遠菜穂子氏、フォトジャーナリストの郡山総一郎氏、そして高校を卒業したばかりの18歳だった今井紀明氏の3名でした。武装勢力は日本政府に対し自衛隊の即時撤退を要求し、応じなければ人質を殺害すると宣告しました。
当時、今井氏が危険地帯と知りながら現地へ向かった理由は、湾岸戦争などで使用された劣化ウラン弾による現地の子どもたちの健康被害を調査し、日本で平和教育のための市民活動を行いたいという純粋な問題意識でした。しかし、同年4月15日に無事解放されて日本へ帰国した3人を迎えたのは、安堵の空気ではなく凄まじい敵意でした。
政府高官による「無謀な行動」「自己責任」という発言を皮切りに、ワイドショーや週刊誌、ネット掲示板は一斉にバッシング報道へ舵を切りました。報道各社の記録や今井氏の回顧録によると、帰国直後から自宅には「死ね」「国賊」「日本から出て行け」といった脅迫状や中傷ビラが毎日段ボール箱いっぱいに届き、固定電話は昼夜を問わず抗議のコールが鳴り響きました。外出すれば指を差され、実家の前には連日マスコミが張り付くなど、社会全体から存在を根底から否定されるような狂乱状態に晒されたのです。