藤田まことの死因と30億借金完済の真相|昭和が生んだ名優の光と影

藤田まことの死因と30億借金完済の真相|昭和が生んだ名優の光と影にまつわる役立つ知識を分かりやすく発信ます。

藤田まことの芸歴は、決して平坦なエリートコースではありませんでした。無声映画スター・藤間林太郎の息子として生まれながら、若い頃の経歴は旅回り一座の下積みやキャバレーのジャズ歌手志望など、泥水をすするような苦労の連続でした。

転機となったのは、1962年に始まった公開生放送コメディ『てなもんや三度笠』でした。「耳の穴から指突っ込んで奥歯ガタガタ言わせたろか」「あたり前田のクラッカー」といったフレーズは日本全国の子供から大人までを熱狂させ、一躍トップスターへ駆け上がります。

しかし、番組終了とともに一時的な低迷期を経験します。「喜劇役者の賞味期限」に直面した藤田を救ったのが、1973年スタートの『必殺仕置人』で出会った中村主水という当たり役でした。

当時の時代劇の主役といえば、非の打ちどころのない正義の武士が常識でした。しかし藤田が演じた中村主水は、職場では上司にペコペコし、家庭では妻のりつ(白木万理)と姑のせん(菅井きん)に「婿殿!」と罵られる典型的な冴えない男。ところが夜になると、法の網をすり抜ける悪人を容赦なく斬り捨てる裏稼業の凄腕へと豹変します。

この二面性は、高度経済成長期からバブル期にかけて組織の理不尽に耐えながら生きていた日本のサラリーマン層に強烈なカタルシスを与えました。現場スタッフの手記によると、藤田は「主水はかっこよく見えたらあかん。かっこ悪いからこそ、刀を抜いたときの冷たさが生きるんや」と語り、あえて格好悪さを徹底して追求したといいます。

その後、50代半ばからスタートした『はぐれ刑事純情派』の安浦刑事では、妻を亡くし二人の娘を男手一つで育てる中年男の哀愁と、罪を犯した人間に寄り添う深い包容力を表現。悪を憎みながらも人を憎まないその眼差しは、藤田自身の波乱万丈な人生経験と重なり合い、唯一無二のリアリティを生み出しました。

松本 悠斗

松本 悠斗

サステナビリティ研究家

マネー知識やキャリア形成に役立つノウハウを、初心者にも分かりやすく解説するのが得意です。