マスキングテープ「Mt」が愛される真相|最新作や限定コラボと活用術
今日ではデザイン文具の代名詞となった「mt」ですが、その礎には100年を超える工業技術の蓄積が存在します。製造元であるカモ井加工紙は、大正12年(1923年)にハエ取り紙の製造から創業した老舗企業です。その後、粘着技術を発展させ、建築や車両塗装時に塗料の付着を防ぐ「工業用和紙マスキングテープ」のトップメーカーとして確固たる地位を築いてきました。 転機が訪れたのは2006年のことです。東京在住の3人の女性クリエイターから「工業用マスキングテープの機能美に魅了され、自作のミニブックを作ったので見てほしい」という一通の手紙と1冊のZINEが工場に届きました。当時、無骨な黄色や緑色しかなかった工業用テープを卓上コラージュに用いる発想は、職人たちにとって未知の領域でした。 開発現場では「和紙の透け感を活かした淡い色合い」や「文字が書けるマットな質感」を追求し、試行錯誤の末に2007年、全20色のラインナップで文具用ブランド「mt」が正式ローンチを果たしました。これが現在へと続くカモ井マスキングテープ歴史の劇的な転換点です。 当初は一部の雑貨ファンから火がついたムーブメントでしたが、日本の伝統素材である和紙が持つ「しなやかさ」「手でちぎれる扱いやすさ」、そして「糊残りの少なさ」が高く評価され、現在では欧米やアジア圏を含む世界各国へ輸出されるグローバルプロダクトへと成長を遂げています。