ヤマトヌマエビの卵は淡水放置で全滅?孵化日数と汽水育成の完全手順
水温25℃前後で順調に育成が進むと、孵化からおよそ25日〜35日目の間に劇的な変化が訪れます。それまで頭を下にして水中をフワフワと浮遊していたゾエアが、ある日の脱皮を境に、突然エビ特有の水平姿勢でガラス面や底面にしがみつき、前後に力強く泳ぎ回るようになります。これが「稚エビ(ベントス/底生生活への移行)」への変態完了の合図です。
変態を遂げた稚エビは、もはやプランクトン食ではなく、大人と同じく底面のバイオフィルムや微細な有機物をツマツマと食べ始めます。しかし、ここで絶対にやってはならないのが「稚エビになったからといって、いきなり真水の水槽へドボンと戻すこと」です。
体は親エビのミニチュアになっても、体内組織は依然として高濃度の海水環境に適応しています。急激に淡水へ投入すると、今度は「低浸透圧ショック」によって体が白濁し、数分から数時間で死亡してしまいます。成功率を極限まで高める稚エビの淡水化手順は以下の通りです。
【淡水化の具体的プロトコル】
- 稚エビに変態した個体だけをスポイト等で慎重に吸い出し、小さめのプラケースや隔離容器(汽水が入った状態)に集める。
- エアチューブと調節バルブを用いた「点滴法」をセッティングする。
- 戻し先となるメイン水槽の飼育水を、1秒間に1〜2滴のスピードでぽたぽたと隔離容器へ落とし込む。
- 隔離容器の水位がいっぱいになったら半分捨て、再び点滴を継続する。この工程を24時間〜48時間かけて段階的に実施する。
- 比重計で計測し、隔離容器の水が完全に純淡水(比重1.000)になったことを確認した上で、さらに半日様子を見る。
- 元気に底面をツマツマと歩き回っていることを確認後、魚に捕食されないよう水草が生い茂るメイン水槽の安全なエリアへ放流する。