名優・長門裕之の波乱万丈|南田洋子の介護と死因、暴露本の真相
おしどり夫婦の象徴として国民的な支持を集めていた長門裕之のパブリックイメージを根底から覆したのが、1985年に出版された自著『洋子へ』でした。この書籍は、本来であれば妻への感謝と愛を綴る自伝的エッセイとして世に出るはずのものでした。しかし、その中身は昭和芸能界を未曾有の大揺れに巻き込む「実名暴露本」だったのです。
書中において長門裕之は、自らの放蕩無頼な私生活を告白するにとどまらず、かつて関係を持ったとされる著名女優たちの実名を赤裸々に列挙。当時、第一線で活躍していた共演者たちの名が次々と暴かれたことで、関係各所から凄まじい怒りと抗議の声が巻き起こりました。出版直後からテレビ各局のワイドショーは連日この騒動をトップで報じ、名指しされた女優陣からの猛抗議や名誉毀損による訴訟の動きに発展しました。
事態の深刻さに直面した長門裕之は、緊迫した記者会見を開き、涙を流しながら「軽率極まりない行為だった」と全面謝罪。書籍は即座に出版差し止め・回収という異例の措置に追い込まれました。この前代未聞のスキャンダルにおいて、最も世間を驚かせたのは妻・南田洋子の対応でした。南田は離婚届を突きつけるどころか、騒動の矢面に立つ夫を静かに支え、妻としての立場を守り抜いたのです。「どんな過ちを犯しても、彼を見捨てることはできない」という南田の姿勢は、世間に夫婦愛の深さを印象づけた一方で、二人の関係が通常の倫理観を超えた共依存の領域に入っていたことを物語っています。