熊駆除反対はなぜ相次ぐ?役所を麻痺させる抗議の真相と共存の限界

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抗議の矛先は、行政だけでなく最前線で命を張る猟師たちにも容赦なく向けられています。「人殺し」「野蛮なハンター」といった誹謗中傷が猟友会支部に届くだけでなく、隊員の自宅や職場を特定しようとする嫌がらせすら発生しました。 現場を決定的に追い詰めたのが、法的リスクと待遇の低さです。北海道砂川市で2018年、市や警察の要請を受けてクマを射殺したハンターが「建物に向かって撃った」として公安委員会から猟銃所持許可を取り消された事件は、全国の狩猟界に凄まじい衝撃を与えました。一審で処分取り消しの勝訴判決が出たものの、二審の札幌高裁で逆転敗訴となり、最高裁へ上告される過程で「行政に協力して発砲しても、警察に銃を取り上げられ犯罪者扱いされる」という絶望が全国の猟友会に広がりました。 ある東北地方の猟友会幹部は、地元メディアの取材に対して沈痛な面持ちでこう語っています。 「日当は危険手当を含めても数千円から1万円程度。自分の高価なライフルを使い、弾薬代も自己負担、万が一クマに襲われれば重傷や死が待っている。その上、ネットで晒され、行政の指示で撃てば銃を没収されるリスクまで背負わされる。一体誰が命を差し出せるというのか」 この過酷な現実を受け、北海道や東北の一部の自治体では猟友会が自治体との有害鳥獣捕獲業務の委託契約を更新しない、あるいは出動を辞退する動きが現実のものとなりました。地域を守る防衛網が音を立てて崩れる中、残された地元住民は「外出時は鈴とスプレーが手放せない」「子供を一人で歩かせられない」と恐怖に震えながら日常を過ごしています。

小林 直樹

小林 直樹

トレンドリサーチャー

シンプルで洗練された住まいづくりとインテリアコーディネートのアイデアを提案しています。