楳図かずお「まことちゃんハウス」の現在|裁判の真相と解体の噂
世間では外観のインパクトばかりが語られますが、かつて特番のインタビューや一部メディアで公開された内装写真からは、楳図氏の並々ならぬ美意識と居住空間への機能的配慮が見て取れます。
玄関を一歩入ると、外観の喧騒とは対照的に、洗練されたイタリア製高級タイルが床一面に敷き詰められていました。リビングルームは高い吹き抜け構造になっており、採光計算が緻密になされた天窓から柔らかな自然光が降り注ぐ設計です。
内装の随所にも楳図ワールドの象徴である赤と白のアクセントが施されていましたが、決して悪趣味な原色使いではなく、上質なホワイトの壁面に対してイタリアンレッドの家具や螺旋階段がモダンに配置されていました。さらに、創作活動に没頭するためのアトリエスペースは遮音性と空調管理が完璧に施され、膨大な資料や原稿を湿気から守る特殊な空調システムまで組み込まれていたのです。
楳図氏本人は生前、「赤と白は僕にとってエネルギーの源であり、生命の色そのもの。自分の家を愛する色で満たすのは、創作者として自然な願い」と語っていました。その空間は、奇抜さを狙った見せ物ではなく、芸術家が自らの生命力を維持するために構築した本気の「シェルター」だったと言えます。