桑田佳祐『風の詩を聴かせて』が今も涙を誘う理由と誕生秘話を徹底解剖
名曲『風の詩を聴かせて』を語る上で欠かせないのが、2007年8月に東宝系で公開された映画『Life 天国で君に逢えたら』の存在です。本作は、世界的プロウィンドサーファーとして活躍しながらも、38歳という若さで肝細胞癌によって逝去した飯島夏樹氏の実話小説『天国で君に逢えたら』『ガンに生かされて』を原作として製作されました。主演の大沢たかお氏と妻役の伊東美咲氏が紡いだ家族愛の物語は、当時の日本中に大きな感動を巻き起こしました。
映画の製作陣から主題歌のオファーを受けた桑田佳祐は、製作途中のラッシュフィルム(未編集映像)を観賞した際、深く心を揺さぶられたと当時の取材で語っています。自身も神奈川・茅ヶ崎の海で育ち、海の美しさと過酷さを肌で知る表現者として、ハワイの海を愛し、病魔と闘いながら最期まで家族を愛し抜いた飯島氏の生き様に強烈なシンパシーを抱いたのです。
桑田は即座に楽曲制作へと入り、アコースティックギターを手に取りながら、映画の情景と飯島氏の遺した想いをメロディへと昇華させていきました。映画のラストを飾るこの主題歌は、悲劇的な死で物語を終わらせるのではなく、「残された者たちが前を向いて生きていくための希望」を託すアンセムとして誕生したのです。