預言者ムハンマドの生涯と真実|孤児から世界宗教を築いた男の全貌
世界の宗教美術を見渡すと、キリスト教の絵画や仏教の仏像など開祖の姿を描いた芸術が数多く存在します。しかし、イスラム世界においてムハンマドの肖像画が基本的に描かれない理由は、教義の根底にある「徹底した偶像崇拝禁止(シルクの回避)」に直結しています。
絶対無二の創造主であるアッラーと、被造物にすぎない人間を厳密に区別するイスラムの教えでは、目に見える形を拝む行為は神の唯一性(タウヒード)を損なう大罪とみなされます。もしムハンマドの像や肖像を作れば、人々が預言者自身を神のように崇拝してしまう恐れがあるためです。
ムハンマド自身も生前、言行録(ハディース)の中で次のような名言を遺し、自らを神格化することを強く戒めました。
「私を、キリスト教徒がイエスを過度に称賛したように称賛してはならない。私は神のしもべにすぎない。ゆえに私のことは『神のしもべであり使徒』と呼びなさい」
絵画による具象表現が忌避された結果、イスラム圏では文字を美しく図案化する「アラビア書道(カリグラフィー)」や、幾何学模様を組み合わせた「アラベスク」が独自の芸術様式として高度な発展を遂げました。