市川猿之助と両親の真実|名門澤瀉屋を揺るがした悲劇の全貌と現在
市川猿之助の父親である四代目市川段四郎(本名・喜熨斗宏之)さんは、兄である三代目市川猿之助(後の二代目市川猿翁)さんと共に、戦後の澤瀉屋を牽引した名優でした。ダイナミックで革新的な舞台を作った兄に対し、段四郎さんは重厚で気品ある演技力で脇を固め、古典歌舞伎からスーパー歌舞伎まで幅広い演目で舞台を引き締めました。
立役(男役)から敵役、老役まで巧みにこなす確かな技術は歌舞伎界内外で高く評価され、2016年には旭日双光章を受章しています。しかし、晩年は体調を崩して長期の療養生活に入り、舞台から離れていました。息子の猿之助にとって、父・段四郎さんは「芸の師であり、絶対に超えられない大きな壁」であると同時に、晩年は手厚く介護を続ける対象でもありました。
一方、母親の延子(のぶこ)さんは友禅作家の長女として生まれ、梨園の妻として夫と息子を陰ながら支え続けた女性です。礼儀正しく控えめな人柄で知られ、猿之助が座頭として多忙を極めるようになってからも、健康管理や身の回りの世話を献身的に担っていました。息子への愛情は非常に深く、常に「孝彦の味方でありたい」という強い母性で結ばれていたと伝えられています。