三太郎生んだ異才・篠原信が語る「人の心を動かす新時代の演出術」
言葉が氾濫する世界において、人の胸を打つフレーズとは何か。篠原のコピーライティングは、スマートな美辞麗句や小手先のレトリックとは対極にある。彼が紡ぐ言葉は、居酒屋のカウンターや学校の帰り道で、生身の人間がつい口にしてしまうような平熱の響きを持っている。
「うまいことを言おうとしたコピーは、読まれた瞬間に忘れられます」と彼は笑う。「頭で理解させる言葉ではなく、口に出したときの語感の気持ちよさや、言われた相手が思わず笑ってしまうような脱力感。愛嬌のない正論ほど、人を退屈させるものはありませんから」。理屈で武装したマーケティング用語を極限まで削ぎ落とし、生活者の本音と無防備に握手する言葉だけを残す。この引き算の美学こそが、彼の表現に普遍的な生命力を吹き込んでいる。