学力は遺伝で決まる?行動遺伝学が暴く驚きの割合と教育の真実
長年にわたる双生児(一卵性・二卵性)の追跡調査を行う慶應義塾大学ツインリサーチセンターなどの研究報告によると、人間の知的能力や学業成績には明確な遺伝の影響が確認されています。一般に「知能(IQ)」の遺伝率は年齢とともに上昇する特徴があり、児童期で約20〜40%、青年期から成人期にかけては約50〜70%に達することが判明しています。
教科別の学力に目を向けると、科目によって遺伝と環境の比率に有意な差が生じます。算数・数学や外国語(英語)の文法処理能力は遺伝的影響が約60%前後と高めに出る一方、国語の読解力や語彙力は家庭環境や読書習慣といった環境要因の寄与が比較的大きい傾向にあります。
注意しなければならないのは、遺伝率50%という数字は「個人の能力の半分が生まれつき固定されている」という意味ではない点です。行動遺伝学における遺伝率とは、「集団内における能力の個人差(ばらつき)のうち、何割が遺伝的差異によって説明できるか」を示す統計量に過ぎません。適切な教育的介入や本人の選択によって、獲得できる学力水準は大きく変動します。