三面六腕の秘話と切ない表情の謎!興福寺・阿修羅像の最新研究を解禁
この傑作の誕生には、奈良時代の権力者である光明皇后の強い意志と深い悲しみが深く関わっている。亡き母である橘三千代の菩提を弔うため、彼女は一連の仏像制作を起案した。母への思いと国家の平安への願いが、この優美な像の原動力となった。
その命を受けた技術集団を率いたのが、仏師の将軍万福である。彼が採用したのは「脱活乾漆造」という非常に手間のかかる高度な技法だった。粘土で原型を作り、その上に麻布を漆で貼り重ねて乾燥させた後、中の粘土を抜き取る。この技法によって、金属や木彫では不可能な、驚くほど軽量で流麗な曲線を持つ三面六腕の像が完成したのである。