延命治療拒否はどう伝える?家族と後悔しないリビングウィルと法的現実

延命治療拒否はどう伝える?家族と後悔しないリビングウィルと法的現実に関する疑問や疑問点をわかりやすくまとめました。要点を確実におさえることができます。

延命治療を巡る現場で最も深刻な問題の一つが、「一度始めた人工呼吸器を外すことの難しさ」です。日本の刑法上、人工呼吸器を取り外す行為は殺人罪や承諾殺人罪に問われるリスクが過去に議論されてきた経緯があり、医療機関側には強い慎重姿勢が存在します。

現在運用されている人工呼吸器中止のガイドライン(厚生労働省「人生の最終段階における医療・ケアの決定プロセスに関するガイドライン」等)では、多職種からなる医療・ケアチームが本人および家族と十分に話し合い、医学的妥当性と本人の意思が確認された場合に限り、治療の不開始や変更・中止が容認されています。しかし、中止の判断は医師にとっても極めて重い倫理的・法的是非を伴うため、「開始しない(不開始)」よりも「開始した後に止める(中止)」方が格段にハードルが高いのが実情です。

また、心肺停止時に蘇生処置を行わない指示であるDNAR指示書(Do Not Attempt Resuscitation)についても正しい理解が必要です。DNARはあくまで「終末期における心拍再開のための蘇生行為(心臓マッサージ等)を行わない」合意であり、抗生剤投与や酸素吸入、点滴といった通常の治療や苦痛緩和まで一切を放棄する意味ではありません。現場では終末期医療の意思決定プロセスを通じて、何を行い、何を差し控えるのかの丁寧なすり合わせが常に行われています。

山下 哲也

山下 哲也

自動車・モビリティライター

デジタルガジェットとスマート家電の検証記事を多数執筆。失敗しないモノ選びを提案します。