蚊に刺されたらどう処置する?かゆみを一瞬で止める最新皮膚科学
長年、庶民の間で語り継がれてきた「爪でバツ印をつける」「スプーンを温めて患部に当てる」といった裏技には、果たして科学的根拠が存在するのだろうか。かつて『ためしてガッテン』などの生活情報番組でも、温熱や物理刺激がかゆみ感覚に及ぼす影響が取り上げられ、大きな話題を呼んだ。結論から言えば、これらは一時的な感覚の錯覚に過ぎず、医学的な治療効果とは言い難い。
熱刺激に関しては、50度近くの熱を数秒間加えることで、熱受容体TRPV1を通じて一瞬だけ痒み神経の伝達を麻痺させたり、蚊の唾液タンパクを一部変性させたりする説が唱えられた。しかし、過度な加熱は低温火傷や微細な組織破壊を引き起こすリスクが高く、皮膚科医の間では推奨されていない。また、爪で強く圧迫して痛みを起こす手法は、脳へ届く信号を「痒み」から「痛覚」へと一時的にすり替えているだけに過ぎない。皮膚の表皮を傷つけ、黄色ブドウ球菌などの二次感染を引き起こす懸念があるため、絶対に避けるべきだ。