ムササビとモモンガの違い完全網羅!大きさ・皮膜・ペット飼育の真実
インターネット上のQ&AサイトやSNSで後を絶たないのが、「モモンガが可愛すぎるので家で飼いたい」「ムササビを飼育するのは違法なのか」という飼育相談です。ここには、法規制の無知と分類学上の大きな誤認が横たわっています。
大前提として、野生のムササビおよびニホンモモンガ、エゾモモンガの飼育は日本の法律上、不可能です。
日本国内に生息するこれらの在来野生哺乳類は、鳥獣保護管理法(鳥獣の保護及び管理並びに狩猟の適正化に関する法律)によって厳格に保護されています。学術研究や傷病個体の保護など環境大臣または都道府県知事の特別許可を得た公的機関を除き、一般市民が生息地から無許可で捕獲すること、自宅で飼養・保管することは明確な違法行為です。これに違反した場合、1年以下の懲役又は100万円以下の罰金という重い刑事罰が科されます。
では、ペットショップで「モモンガ」として十数万円前後で流通している動物は何なのでしょうか。
家庭用ペットとして流通しているのは、リス科のモモンガではなく、オーストラリアやパプアニューギニアなどに分布する有袋類(ゆうたいるい)の「フクロモモンガ」です。
フクロモモンガはコアラやカンガルーと同じグループに属し、メスのお腹に育児嚢(いくじのう=子どもを育てる袋)を持っています。滑空するための皮膜を備えている点や大きな黒目はモモンガと瓜二つですが、これは異なる系統の生物が似通った環境に適応して同じ形態へ進化する「収斂進化(しゅうれんしんか)」の典型例です。生物学的な分類は以下のように根本から異なります。
- ニホンモモンガ・ムササビ:哺乳綱 齧歯目(げっしもく)リス科
- フクロモモンガ:哺乳綱 双前歯目(そうぜんしもく)フクロモモンガ科
「モモンガを飼っている」と語る飼育者のほぼ100%が、この有袋類フクロモモンガを飼育しています。日本の固有種であるリス科モモンガが家庭で飼育されている事例は、法制度上あり得ないという事実を認識する必要があります。