昭和64年の未解決事件に迫る!小説と映画が抉り出した人間の慟哭

昭和64年の未解決事件に迫る!小説と映画が抉り出した人間の慟哭の基本情報から最新動向までを徹底的にカバーしました。

作家の横山秀夫が10年以上の歳月をかけて紡ぎ出した小説『64(ロクヨン)』は、従来の警察小説が持つ枠組みを根底から覆した記念碑的傑作だ。華々しい現場捜査官ではなく、刑事部と警務部、さらには警察組織とメディアの板挟みに遭う「広報官」を主人公に据えた着眼点は極めて独創的である。

組織内部の生々しい権力闘争や保身、隠蔽工作のリアリティは、元新聞記者である横山秀夫ならではの筆致。ページをめくるごとに漂う重密な空気感と、登場人物たちの張り詰めた心理描写は、ミステリーの枠を超えて一級の人間ドラマを構築している。組織に抗いながら自らの矜持を問う三上の苦悶は、働くすべての現代人の胸に重く突き刺さる。

橋本 菜々子

橋本 菜々子

トレンドリサーチャー

グルメと旅を愛するフリーライター。全国各地の隠れた魅力を独自の視点から紹介します。