昭和史の巨匠が遺した肉声と警告『日本のいちばん長い日』の真実
歴史は決して教科書の中に眠る乾いた文字ではない。1960年代、株式会社文藝春秋の気鋭の編集者だった男は、まさに足で歴史を掘り起こしていた。終戦からわずか20年足らず。当事者たちの多くが口を閉ざし、記憶が風化と改竄の危機に瀕していた時代だ。
若き編集者は、かつての陸軍中枢幹部や宮内庁関係者を訪ね歩いた。怒号を浴びせられ、門前払いを食らっても諦めない。酒を酌み交わし、沈黙の奥にある本音を抉り出す。そうして集められた肉声のモザイク画が、不朽の傑作『日本のいちばん長い日』へと結実した。筆名を大也壮一とした初版の出版当時、出版業界に走った衝撃は今なお語り草となっている。組織が崩壊する瞬間の生々しい人間ドラマは、活字の力で時代を揺さぶったのだ。