ドラえもんアニメはいつから?幻の日テレ版から声優交代の真相まで解剖
アニメ史において「幻の作品」として半ば伝説化している1973年の日本テレビ版ドラえもん。全26回(計52話)で半年間の放送を終えて以降、地上波で再放送される機会はほぼ途絶えました。ネット上では「出来が悪くて原作者が激怒し封印された」といった都市伝説が長年まことしやかに囁かれてきましたが、実態は大きく異なります。
日本テレビ版を手掛けたアニメ制作会社「日本テレビ動画」は、番組放送終了の直前、経営破綻に陥り事実上解散しました。会社解散に伴ってフィルム原盤の保管場所が散逸し、権利処理窓口も曖昧になったことが、長年にわたり再放送やパッケージ化が極めて困難となった直接的な構造原因です。アニメーション研究家や当時のスタッフによる回顧録によると、視聴率自体は決して惨敗ではなく、後半に向けて上昇基調にありました。決して作品のクオリティゆえに打ち切られたわけではありません。
しかし、演出面において現在のドラえもん像と大きなギャップがあったことは確かです。日本テレビ版では、ドラえもんの声優が放送途中で交代しています。第1回から第13回までは重厚な濁声が特徴的な富田耕生氏が演じ、やや乱暴で小うるさい「下町のおじさん」のような味付けがなされていました。第14回以降は野沢雅子氏が引き継ぎ、原作の少年漫画らしさに寄せたドタバタ喜劇へとシフトします。また、原作初期にわずか数回しか登場しないアヒルのロボット「ガチャ子」がレギュラーとして居候しているなど、徹底したドタバタギャグアニメとしての独自改変が目立ちました。こうした過剰な脚色に対し、藤子・F・不二雄氏が違和感を抱いていたことは事実として伝えられており、後の1979年版制作時に「原作に忠実であること」を強く求めた原点になったと記録されています。