フィリーチーズステーキ完全解説|本場の味と東京の名店&自宅レシピ
フィリーチーズステーキの構成要素は一見シンプルですが、その裏には計算し尽くされたテクスチャーと風味のバランスが隠されています。本場のクオリティを成立させているのは、以下の3つの絶対的な柱です。
第1の要素は肉の部位です。本場で最も王道とされるのは、適度なサシと濃厚な赤身の旨味を併せ持つ「リブアイ(牛リブロース)」の極薄切りです。フラットトップ(鉄板)の上でヘラを使い、肉を細かく刻み(チョップし)ながら脂をメイラード反応させ、玉ねぎの甘みと一体化させます。赤身が多すぎるとパサつき、脂が多すぎると重くなりすぎるため、赤身と脂の比率が8対2前後の部位が理想とされます。
第2の要素はパン(ロールパン)の選定です。ここで多くの人が「硬いフランスパンやバゲット」をイメージしがちですが、本場ではアモロッソ(Amoroso's)社に代表される「ホーギーロール」が絶対条件となります。クラスト(外皮)は薄くしなやかで、中はふんわりとしながらも肉汁をしっかり吸収する高密度のパンでなければ、かぶりついた瞬間に具材が横から飛び出してしまいます。噛みちぎりやすいソフトな食感こそが、豪快な食べ心地を支えています。
第3の要素が、賛否両論を巻き起こしながらも圧倒的なジャンクの頂点に君臨するチーズウィズ(Cheez Whiz)です。クラフト社が開発したこのプロセスチーズスプレッドは、温めることでクリーミーな液体状になり、刻まれた牛肉の繊維の奥深くまで隙間なく浸透します。ミルキーで塩気の効いたプロヴォローネや、マイルドなアメリカンチーズも定番ですが、肉汁と混ざり合ってソースと化すチーズウィズの破壊力は唯一無二です。