なぜ捨てられない?部屋が物で溢れる人の深層心理と病気の境界線
実家の片付けをめぐり、「親がどうしても物を捨ててくれない」と頭を抱える子ども世代からの相談が後を絶ちません。高齢者が過剰に物を溜め込む現象には、加齢に伴う心身の変化と育った時代背景が複雑に絡み合っています。
戦後や高度経済成長期のモノが不足していた時代を生きてきた世代は、「物を大切にすることが美徳」という価値観が身体に染み付いています。この強固なもったいない精神に加えて、加齢による「判断力・認知機能の低下」が拍車をかけます。物を選別し、分別してゴミに出すという作業は、脳に極めて高度な情報処理を要求するため、気力の衰えとともに判断を先送りにしてしまうのです。
また、配偶者との死別や退職、体力の衰えなど、高齢期特有の「喪失体験」から生じる孤独感を、長年連れ添った家財や日用品で埋めようとする心理も無視できません。親にとって実家のモノは、自分の生きてきた歴史そのものであり、他者から見れば不要品に見える段ボール一つにも本人のアイデンティティが宿っています。