ガラスドームの残光と2028年への胎動——変貌する東京湾の青い巨塔、2026年「葛西臨海水族園」最前線ルポ
建物の深部へ降りるエスカレーター。光が遮られ、深い藍色の闇が広がる。葛西の代名詞ともいえるドーナツ型の大水槽「大洋の航海者」だ。視界を埋め尽くす2,200トンの海水。その中を、弾丸のような流線型の巨体が矢のように横切っていく。クロマグロである。
止まれば窒息する。生きるために泳ぎ続けることを運命づけられた魚たち。時速数十キロで旋回するその軌跡は、冷たいガラス越しにも水圧の唸りを感じさせるほどの迫力がある。かつて2014年から2015年にかけて起きた謎の大量死事件。群れがほぼ全滅するという未曾有の悲劇を乗り越え、飼育員たちが手探りで再構築してきた生態環境の結晶が、目の前の群泳だ。銀色にギラつく魚体の一匹一匹に、人間の執念と海の気難しさが同居している。