アルコール発酵の反応式と仕組み!覚え方や乳酸発酵との違いを解説
Q1:アルコール発酵で生成されるATPは、なぜ好気呼吸と比べて極端に少ないのですか?
A1:グルコースの持つ化学エネルギーの大半が、最終生成物であるエタノール(C₂H₅OH)の炭素結合の中に依然として高エネルギーのまま残されているためです。好気呼吸ではグルコースを二酸化炭素(無機物)まで完全に酸化分解し尽くすため約30〜32ATPを取り出せますが、アルコール発酵はエタノール(有機物)という燃焼可能な状態までしか分解しない「不完全燃焼」のような反応であるため、解糖系由来の2ATPしか回収できません。
Q2:アルコール発酵はエタノールが蓄積し続けるとどうなりますか?
A2:酵母自身が生成したエタノールの毒性によって細胞膜が損傷し、やがて酵母自身が死滅または活動停止します。一般的な清酒酵母やワイン酵母であっても、耐えうるアルコール度数の限界はおよそ15〜20%前後です。蒸留酒(ウイスキーや焼酎など)の度数が40度以上あるのは、発酵終了後に加熱蒸留してアルコール分だけを濃縮しているためであり、発酵のみで高濃度アルコールを作ることは生物学的に不可能です。
Q3:酸素が存在するときにアルコール発酵が止まる「パスツール効果」の逆の現象はありますか?
A3:存在します。グルコース濃度が極めて高い環境下では、たとえ酸素が十分に存在していても好気呼吸が抑制され、アルコール発酵が優先的に進行する現象があり、これを「クラブトリー効果(またはグルコース抑制)」と呼びます。製パン用のイーストを短時間で活性化させる際など、糖濃度を高めて急速に炭酸ガスを発生させるバイオプロセスの現場で応用されています。