消えゆく「昭和・平成の夏」を追いかけて——2026年、日本中を揺らす『夏 の 日 残像』現象と、私たちが失った季節の記憶
SNSでハッシュタグを席巻する投稿の多くは、2000年代初頭までに撮影されたアナログフィルムの質感を持つ画像だ。青々とした道端の草木、少し色あせた麦わら帽子、入道雲の下を走る一両編成のローカル線。驚くべきことに、これらのコンテンツに熱狂しているのは、当時の日本を実体験として知らない2000年代半ば以降生まれの若者たちである。
「自分たちが生きている夏は、エアコンの効いた室内から眺める危険な熱波でしかない」と、都内の大学に通う女子学生(21)は明かす。「写真や映像のなかにある『外で自由に呼吸できた夏』に、強烈な憧れと懐かしさを覚える」。存在しない記憶に対するこの奇妙な郷愁は、文化人類学の分野でも新たな現象として注目を集め始めている。