電通・高橋まつりさん事件の真相と現在|過労死問題が変えた日本社会
事件以降、電通は組織の存亡をかけて「労働環境改革」を推進してきました。かつて深夜まで明かりが消えなかった汐留の本社ビルは、原則22時全館消灯とされ、深夜勤務や休日の業務連絡は厳格に禁止されました。さらに、PCの自動シャットダウン機能や勤怠ログと入退館ゲートの完全連動など、勤務時間の客観的把握が徹底されています。
また、有給休暇とは別に毎月1日の平日休暇を設ける「インプットホリデー」の導入や、社員の心身のコンディションを定期的に可視化するパルスサーベイの運用など、制度面の刷新が積み重ねられてきました。
現在における電通の社内評価や就職・転職市場での評判を見ると、「かつての過酷な体育会系カルチャーは姿を消し、法令遵守意識は業界内で最も厳しいレベルになった」という声が多くを占めています。一方で、限られた時間内でこれまでと同等以上の高いアウトプットを求められるプレッシャーや、クリエイティブ領域における業務の密度の濃さなど、新たな質の課題に向き合うフェーズへと移行しています。